29th  AUG  2019 uploaded

有楽町のからくり時計ちかくのバス停に立ってバスを待った。
東京は、運賃前払いか運賃後払いかが気に掛かっていた。
まもなく晴海三丁目の試験会場に向かうバスがやってきた。

窓ガラスごしに次々と過ぎて行く朝の整然とした街並みは地方都市のそれと似ているのだが、
エプロン姿の人はクリアーな動きで店先(みせさき)を掃除していた。 狭い歩道ですれ違う人と人の間の空気は止まったまま。
いつもと違う生活圏にいることは明らかだった。
バスは、築地市場を右手に見て、隅田川にかかる橋をわたった。

バスを降りた。
試験会場は、バス停すぐ(そば)のビルディングだった。

試験開始の合図でHBの鉛筆を手にとった。
マークシートはマークミスがあると正解を選択しても不正解扱いになるので鉛筆を持つ手が震えたことを思い出す。
失敗すると次の受験機会は数か月後だったのだ。

アマチュア無線技士の試験は終わった。

晴海ふ頭だから船があるはず。
ちょっとだけ冒険した。
会場近くの横断歩道を渡ると船の煙突が見えた。
しかし、 電車・バス利用で2時間を超える距離を帰らなければならず、その先へ行こうとは思わなかった。

今にして思えば、船は外国航路を渡ってきた大型客船だったのかもしれないのだが、
どんな船だったのか見ないままバスに乗った。
バスは間もなく東京駅八重洲口に着いた。
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あの  からくり時計が、待ち合わせのランドマークであることを知ったのは数年後のことだった。


あの  時計から少し歩くと銀座4丁目交差点に来るのだが、
デパート入り口のライオンに(またが)るのはいけないだろうね  というので、
まあ、そうだね、と返答したことが思い出される。
今になってみれば、 ジャガーに乗ってドライブに出かけよう [広告]、そのように気をそらすべきだった。